競泳で最も重要な練習とは?

最も重要な練習とはレーススピードの反復です。これはトレーニングの原則・原理に基づいています(反復性、過負荷の原理)。レーススピードの再現によって、レースに必要な要素に効果的に負荷をかけることになります。このレーススピードを反復することで、体が適応し、たくさん反復することが可能になります。その結果、以前よりも楽にレーススピードを達成できるようなり、前半を速いタイムで通過できたり、後半も速いタイムで泳ぎ切ることが可能になります。こうして自己記録(ベスト)が更新されます。

もちろんこのレーススピードの反復のみでは、ベスト記録を更新し続けるのは困難です。レースピードのたくさんの反復を助けるように、最大速度を向上させるスプリント・スピード練習、持続力や回復力を高めるための持久練習、そして泳法フォームの修正・改善による有効性・効率向上を狙うドリル練習があるわけです。これらの仕組みが全てうまくいくと継続的な記録向上が可能になります。

ですから練習中の目標タイムはまず、このレーススピードの反復を行う練習について設定すべきです。設定した試合での目標タイムのラップタイムがレーススピード、つまり練習中の目標タイムになります。ラップタイムの推定にはトップ選手のラップタイム比率を用いると良いです。この時、後半ラップタイムが練習中の目標タイムとして最適です(200-400mは中間の区間のラップ)。この理由は水中練習の多くは水中スタートが採用されることや、レースの半分以の距離であればインターバルトレーニングでたくさん反復しやすいからです。

男子100mの自由形で目標タイムを51秒00に設定した際のレースピードを算出の例

このレースの半分以下の距離で目標タイムを可能限り短い休息時間でたくさん繰り返すことが、ベストタイム更新に最も重要な練習ということです。ストロークテンポ(頻度)の指定やターンの影響の差引、練習用と競技用水着の性能を違いを考慮するとより綿密なタイム設定となります。